チェリーブロッサム 翠星石 製作解説
キットデータ
ノンスケール 翠星石 (ローゼンメイデン)
販売 チェリーブロッサム (イベント限定品)
原型製作 桜坂美紀
パーツ数 35
ローゼンメイデン第三ドール翠星石です。
翠星石は第四ドールの蒼星石の双子の姉として作られ、 翠星石の如雨露は人の心を成長させ、蒼星石の鋏は人の不必要な記憶を切り取ると言う具合に能力も対を成した物となっています。他の5体のドールにこの様な能力が有るのかは描写が全くされていないので不明ですが、双子の能力はアリスゲームには何の役にも立ちそうも無い事から、ローゼンメイデンがアリスゲームの為だけに作られた訳では無い事が伺えます。
翠星石はローゼンメイデンのドール達の中では一番気に入っていた上に、造形的に安心出来るチェリーブロッサム桜坂美紀氏の原型なので、是が非でも作るつもりでいましたが、パーツ数からも判る通り手間が掛かるのは目に見えていたので、製作に時間が取れる機会をうかがっていたら、直にでも作りたい所が、結果的にはキットを入手してから半年後の製作となってしまいました。
キットの初売りは7月に神戸で行われたワールドホビーフェスティバルでしたが、私が購入したのはワンダーフェスティバル2006{夏}です。
ノンスケールでは有るものの、先に作った、後発の蒼星石と並べて飾れる様に同スケールになっていて、設定では翠星石の方がほんの少し背が高いのですが、キットを再度入手して一緒に作った蒼星石と並べたら、設定通りに作り分けがされていた事に、大変感銘を受けました。
キットは先述の通りパーツ数が多く、後ろの髪の毛だけでも10パーツも有り、見栄えの点から塗装前に合わせ目を消す必用な個所が髪の毛とスカートを合わせて都合9箇所も有る上に、業者抜きでは有るものの夏に製造されたキットの為か、微細気泡が大量に発生しているパーツが有り、フードのレース部分のパーツは薄い為かきちんと流れていない部分があったり、やたらに細かいリボンを取り付けなければ為らなかったりと、段差を除けはガレージキット製作で遭遇するであろう難関が一通り揃った物でした。
当たりが良ければ難関は髪の毛の組立とリボンの取り付けのみになってしまいますが、まかり間違って初めて製作するガレージキットに選択した場合、相当厳しい戦いになるかと思います。
チェリーブロッサムのローゼンメイデンシリーズを難易度順に並べるとこんな感じで、
蒼星石<<水銀燈<翠星石
蒼星石と水銀燈には大きな隔たりが有りますが、蒼星石でもシビアな組立が求められます。
製作手順としてはゲートやバリ切除の後、パーティングラインと一緒にヤスリ掛けを行い、気泡埋め、仮組、塗装、組立となります。
ゲートやバリの切除はタミヤの精密ニッパーで大まかに切断した後、オルファのアートナイフプロに曲線刃を取り付けた物でギリギリまで切り落とし、切除した跡は3Mの耐水紙やすりの400、600番でパーティングラインと一緒に研き落とします。
パーティングラインの処理と平行して、気泡はナイフで広げてパテを入り易くしてから、タミヤの光硬化パテを充填して、やすり掛けを行います。微細気泡に関してはこの段階では無視しました。
パーティングラインと大まかな気泡処理が終ったら、1mm、0.5mmのドリルで穴を開けてパーツ同士を真鍮線で繋ぎます。
ここで問題になるのが軸の位置決めですが、片方の軸穴を開けてから同径の真鍮線を差込み、1.5mm程残してニッパーで切断して、もう片方のパーツを押し付け、軸位置を決めています。位置さえ合っていれば、多少軸の角度がずれていても問題は有りません。
もし、位置がずれていたり、差し込んだ真鋳線が埋まってしまって取り出せなくなってしまった場合は、軸位置を変更すれば良いのですが、それが出来ない場合、軸位置がずれた場合は片方のバーツの穴を広げて瞬間接着剤を流し込み、もう片方にはメンソレータムを塗って、適当な長さの真鋳線を差し込んでパーツを合わせれば、軸が片方のパーツに固定されてしまいますが、正確な位置に軸打ちが出来ます。真鋳線が埋まってしまった場合、埋まった真鋳線がニッパーで引っ張りだせる様になるまで、ナイフで穴を広げます。
軸ズレを抑える方法としては、細い真鋳線を使うに限ります。1/6程度のサイズであれば、大抵は1mmも有れば十分な強度が確保出来ますし、強度的に問題があれば、2本以上にすれば事足りるので、無理に2mmや3mmと言った太い金属線を使う必用は無いと思います。
私の場合、100%塗装前の仮組段階で軸打ちを行うのですが、チェリーブロサムのローゼンメイデンシリーズはパーツ同士の噛み合わせが大変シビアなので、尚更塗装前の確実な軸打ちが求められます。
塗装前に消す必用の有る、バラバラに分割された後ろの髪の毛パーツと前後に分割されたスカートの上段の合わせ目は、接着する前に合わせ目が緩やかなV字状の溝になる様に事前にパーツを加工しておき、接着後に光硬化パテで溝を埋める事により合わせ目を消しています。緩やかなV字状の溝を掘るのは、パテの接着面を増やしてパテの接着力を上げ、パテとキャスト素材の境目を出難くする為です。
スカートは別段悩む事は有りませんが、髪の毛は順番を間違えると見える部分の合わせ目すら消せないと言う事態になるので、よく手順を検討してから接着する必要が有ります。
軸打ちと仮組が終ったら、真鍮線の刺さっていない軸打ち用の穴や、必用に応じて接着面に新規に穴を空けて、塗装時のもち手用に真鋳線を差してやります。髪の毛の様にボリュームの有るパーツは1.5mmの真鍮線を複数差してやったりします。
フードやりポンの様に真鍮線を差して塗装出来ないパーツは、シンナー洗浄で脱脂した後、割り箸に両面テープを張り、そこへ粘着面を表にしたマスキングテープを貼った物にパーツを貼り付けて塗装しています。態々マスキングテープを貼るのは、両面テープの粘着力で塗装が剥がれてしまうリスクを避ける為です。
塗装は何時も通り
ミッチャクロン マルチ
を塗布した後、肌色を塗るパーツは
Mr.スーパークリアー (つや消し)
の缶スプレーで、それ以外を
Mr.ホワイトサーフェイサー1000
で下地塗装を行いました。
プライマーとしては大阪プラスチックの
スーパーマルチプライマー
も気になる所ですが、ミッチャクロンと比較して単位量の価格が何倍もする物を使う気には中々・・・
塗装前に手付かずだった微細気泡は下地塗装を何度も噴き付け、埋まらなかった比較的大きな気泡を光硬化パテで埋めてやる事で処理しました。
下地塗装が終って完全に乾燥したら、スポンジやすりの
MICROFINE
で磨き上げた後、エアーブラシでの彩色となります。
以下、特に断りが無い限りはクレオスのMr.カラーでのエアーブラシ塗装です。
肌色部分は今年作った全てのアイテムと同じ濃淡を付けつつ、ドールっぽくなる様に少し薄めに塗装しています。
顔塗りは、白目部分はキャスト素材の色で、白目のシャドー部分をラ・サイゼルのタイツ部分用に作った薄いブルーで塗り、次に左眼をル・マングリーンで塗ってから、デイトナグリーンで、右目はレッドでそれぞれグラデーション塗装してから肌色を塗装して、目の細かい部分や口、眉毛はタミヤのエナメル塗料で筆塗りしています。
白目は下塗りの白やキャスト地の色を利用して、目のシャドーや虹彩はマスキングとエアーブラシで塗装する方が綺麗に仕上がると思うのですが、イベントで知り合った方々に色々聞いているとどうも少数派の様です。
着衣の白い分は
FOK
の
アクセルS 12ホワイト
で塗ったあと、前回の
まほろさん
の白い部分用に作った、シャドー用の薄い方の色でシャドーを入れました。黒い部分はつや消しブラックです。
服の袖とスカートの緑色はグリーンにデイトナグリーンを混ぜた物で濃淡を付けて塗った上に、グリーンでシャドーを入れています。黒いラインの部分はつや消しブラックです。
フードのレース部分はタンをホワイトで薄めた物を濃淡を付けて塗り、タミヤのエナメル塗料のフラットブラウンでスミ入れを兼ねてウオッシングしています。白い部分はは他の白い部分と同じ様に塗っています。
着衣部分は彩色後にスーパークリアーのつや消しでコーティングしています。
髪の毛はダークアースを塗った後、ウッドブラウンを重ね塗りして、最後にスーパークリアーのつや消しでコーティングしています。
如雨露はゴールドの薄いクリアーグリーンの上澄みを捨て、変わりにスーパークリアーを加えた物で塗ってから、シャインシルバーで塗装して、錆止めとしてラッカーのクリアーでコートティングしています。
下半身は肌色を塗装した後、アクセルS 12ホワイトを薄めた物を塗り重ね、
造形村シャインパール/ホワイト
を大量に混ぜたスーパークリアー光沢でコートした後、スーパークリアーつや消しで光沢を整え、靴の部分は薄めたダークアースとつや消しブラックを濃淡を付けて重ね塗りしています。
ベースは
アサヒペン ジェルカラーニス
(ウォールナット)をウエスに染み込ませて塗布、乾燥後再び塗布を三回繰り返した後、1日置いて完全乾燥させています。
今回は蒼星石とセットで並べられる様色調を整えるのが第一義としつつ、可能な限りドールっぽい高級感の有る仕上がりを目指しましたが、私として何れもほぼ達成出来たと思います。
写真
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