キットデータ

 1/7 シオン・エルトナム・アトラシア

 フルスクラッチビルド




 アーケード版が稼動し始めたばかりと、私には珍しく旬真っ只中のタイトル、メルティーブラッドの主人公のシオンさんです。
 メルティーブラッドは、同人ソフトサークルとして活動している渡辺製作所(現在は「フランスパン」に名称変更しています)が、TYPE−MOONがパソコンゲームメーカーとして法人化してFate/staynightをリリースする前に、同人ソフトサークルとして活動していた時期にリリースした「月姫」のキャラクーを使い、TYPE−MOONと共同で製作したWindowsパソコン用格闘ゲームです。システムを発展させ、アーケードモードを追加したアップデートディスク、ReActもリリースされています。
 同人ソフトと言う事で販路や販売数は限られますが、Yahooオークションでならメルティーブラッド本体が3,000円程度、ReActが1,500円程度で購入可能な様です。
 Windows用の他に、96年にサターンでリリースしたデスクリムゾンのあまりの出来の酷さに一躍有名になったエコールがNAOMI筐体の業務用機に移植したメルティブラッド カクトカデンツァが稼動中です。ストーリーはおまけ程度のでしかないのですが、デモ等はReActのアーケードモードに準拠している様です。

 シオンはメルティーブラッドの製作の際に新たに設定されたキャラクターの為、「月姫」やその後日談の「歌月十夜」、世界観を共有するFate/staynightには登場していません。
 今一番メディアでの露出が多いと思われるアーケード版でも今一立場が分かり難いと思うので説明しておきますと、貴族出身で、エジプトにある魔術の研究機関の付属の学校、アトラス魔術学院に席を置く学生で、8年前に主席に選ばれた為、代表者を意味するアトラシアを名乗る事が許されています。従ってエルトナムがファミリーネームです。ちなみに、アトラスに身を置く者は錬金術師と呼ばれるそうです。錬金術師と言っても練成陣を描いたりはしない様です。
 三年前に自ら吸血鬼になった三代前の先祖、通称「ワラキアの夜」噛まれてしまい、すぐに吸血鬼になる事は免れたものの、進行する現在吸血鬼化を止めるべく治療方法について研究中で、日本には大本の原因となるワラキアの夜を討つ為にやってきました。



 原型製作

 今回は初めて掲載するフルスクラッチ物なのてずが、これが最初に作り始めた訳ではなく、幾つか有る製作中の物の中で最後に作り始めた物なのですが、サイズが一番小さかった事とその他諸々の事情により一番最初に完成してしまいました。
 インダストリアルクレイの使い勝手を試す為に作り始めた物なので、大体の形をインダストリアルクレイで作り、テグスで分割した段階で、ポリパテやシリコンで型取りしてポリパテに置換した後、ポリパテで仕上ています。タイの部分だけウエープの軽量ポリパテを使用しています。
 粘土造形に全くノウハウが無いので、クレイでは思った様な形には出来ず、最終的な造形はポリパテ置換してからの盛り削りで行っているのですが、一番最初に出来た事を考えると素材の置き換えのコストに目を瞑れば効率の良い方法なのでしょう。と言っても製作開始から完成まで、放置していた半年近くの期間を含め、一年掛かっていますが。
 当初はワンオフの積もりだったのですが、途中から模型イベントで販売しようと量産前提の原型に切り替えて、掲載している物はシリコンで型を取り、ウレタンキャストで成型したキットを製作しています。

 原型製作までの手順ですが、先ず全体の基本となるプロポーションを割り出し、それに沿って手足や胴体、頭の芯芯となる物ををクレイで適当に作り、各部分を繋ぎ合わせてクレイを盛り付け体の形を出して行きました。大まかな形は物の二時間程で出来たのですが、他の作業のためこの段階から半年程度放置。
 作業再開してから上着をクレイで盛り付けてから、肩口、袖、太股の部分で分割して、各部分にオスダボとなるキャスト棒を取り付け、メスダボを彫刻等の平刀で彫り、分割部分を製作。
 スカート部分はある程度厚みを確保する事によりクレイでも充分な強度を得られたので一番最初にクレイからポリパテへの素材置換を行ったのですが、その際ポリパテ型による複製を試してみようと、メンソレータムを全体に塗った後、ポリパテを塗り付けてみたものの、ポリパテ型が原型から上手く剥がれず、結局原型を壊して型から取り出す事になってしまいました。作った型にキャスト用のウレタンを流したら、型を作った時と同じ様に型からキャストが剥がれず、今度は型を破壊して成型物を取り出す結果になりました。使用したキャストの切削性が悪く作業性は芳しく無かったのですが、又置き換えるのも面倒なので我慢して何とか仕上ました。複製を前提とした際に、スカートをプリーツに沿って前後に分割して、スカートの中をを作ろうかとも考えたのですが、自分で複製する事を考えたら、複製の際の歪みで製作が困難になるのは間違い無いと思われたので見送りました。
 両足もスカートと同様にポリパテで型を取ったのですが、今度は充分にメンソレータムを塗っていたので、比較的綺麗に原型を取り出せました。が、それでも破損は免れませんでした。ポリパテの様に柔軟性の無い型は逆テーパーが全く抜けないのと、思ったよりも手間がかかるので、かなり割高になってしまいますがこれ以降のクレイからポリパテへの素材の置き換えはシリコン型で行う事にしました。
 服の裾のスカートに掛かる部分は、最初クレイで作っていたのですが、厚みを確保するのが難く充分な強度が確保出来ず、壊れてしまったので、クレイ状態では服はスカートよりも上の部分しか作らず、シリコンゴムで型を取り、ポリパテに置き換えてから、服のパーツをスカートに繋ぎ合わせた状態で、スカートにメンソレータムを塗った上に、ポリパテの盛り付け、削りで出しで薄い裾野部分を造形しました。袖口の腕に掛かる部分や、形状が複雑な両手首も同様の手順で、ポリパテに置き換えてから造形しています。
 髪の毛はドールウィッグも利用出来る様、丸刈り状態で頭部を作っていて、結構早い段階でポリパテに置き換えていたのですが、サイズ的に合うウイッグが無い事が発覚しした為頭を丸刈りにする必要が無くなり、頭に髪の毛のパーツを取り付ける形式だと、どうしても髪の毛パーツが薄くなり、複製すると、その過程での変形により頭に髪の毛が取り付けられない気がしたので、多くのキットと同じ様に後頭部は後ろ髪と、額の髪の毛で隠れる部分は前髪と一体とする分割に変更しました。髪の毛は当初クレイで作ったのですが、置き換える前に壊れてしまったのでポリパテの削り出しで作りました。
 床に広がった髪の毛は、イラストをスキャンして、大きさを合わせてプリンターで出力した物を参考にトレーシングペーパーで元となる形を描た物にプラパンに貼り付けて切り出し、ポリパテを盛り付けて成形したのですが、平らな所に置いたトレーシングペーパーにポリパテを盛り付けばポリパテに鉛筆描きした物が転写されるので、プラバンを切り出す必要は全く無かったと気付いたのですが、後の祭りでした。
 エーテライト収納用の腕輪は適当なサイズのドーナツ状のリングが有れば良かったのですが、丁度良い物が無く、1cm径の丸棒にマスキングテープを巻いてサイズを合せ、ポリパテを盛り付けて削り出しました。方法としては指輪を作るのと同じ要領ですが、私は指輪職人ではないので形は歪です。

 クレイでの造形、パテでの造形、ともに、ヘラで盛り付けてオルファのアートナイフプロで切り出すと言う作業が8割方で、アートナイフで難しい切り出しは彫刻刀で行っています。ポリパテを切り出した表面を馴らすのには、120番、180番とキット製作では先ず使用しない粗さの紙やすりを使用しました。
 スカートのプリーツ等の筋彫りはデザインナイフで当りを付けた後、版画刀の1mmの三角刀で浅く掘り、エッチングソーで仕上ています。
 造形上一番悩んだのは手首と目の部分の彫刻で、手首は形が中々決まらず、目に至っては彫り方が良く分からず、道具や方法を色々変えて、何度も試行錯誤しました。
 睫毛や瞳の輪郭、眉毛、二重瞼等の顔のは塗装で表現する事を前提にモールディングしていません。その分の手間が省けると言うのも少なからず有るのですが、好みに合わせて自由に描き込めた方が良いかと思いそうしました。目は大人っぽくなる様、小さめに彫っています。
 全体的に思った様な形状に作れ無れなかったりして造形上今一歩所か、五歩や十歩な所や、仕上が粗い所が多々有りますが、最初だからこんな物でしょう。

 サイズは1/8で製作していたつもりだったのですが、計算違いをしていたのと身長を大きく見積もっていたのが重なり、設定身長で計算すると1/6.5程度です。版権申請は設定身長が分かる前に算出した物で行った為、表記上は1/7スケールとなっています。
 最近は、計算すると1/10程度のサイズなのに1/8とか、1/7にも満たないサイズなのに1/6とか言う具合に、メーカー製、アマチュアのイベント品共にスケールを計算上の値よりも大きく表記する風潮が有り、それとは逆行する為、かなり大きく感じてしまうかも知れません。



 キット製作

 キット状態は手流しで量産も初めての為、ゲートがかなり乱雑で大きかったり、前後の髪の毛が型の関係か若干合いが悪いので修正が必要だったり、首と胴体の分割個所の胴体側のメスダボが埋っているので位置決めが難しかったり、床に広がった髪の毛の成型が面倒だったり、スカートのプリーツモールドの深さが均一でなかったり消えていたり、底面全体で接地しなかったりと言う具合に気になる部分は多々有りますが、作り易さを重視して製作したつもりですのて、キットの製作が出来る方なら誰でも作れる物だと思います。

 キット毎の個体差があるとは思うのですが、今回製作して気付いた事を下記に書き留めておきます。
 左足が若干浮く様なので、オスダボの飾った際上になる側を少し削って角度を調整しました。オスダボを切り落として真鍮線で繋いでも良いかも知れません。
 製作見本なので今回は行いませんでしたが、床に広がった髪の毛の先は細い金属線で延長してパテで成型してやると良いでしょう。
 胸パーツとスカートに密着した手前側の髪の毛は、原型段階では問題無いのですが、複製してパーティングラインを消したら髪の毛と服の間に隙間が出来、床面が見えてしまうので、床面をエナメルのパープルで塗っています。他の方法としては、パテやプラ板で髪の毛パーツを修正するか、複雑な形状では無いので、胸パーツにパテを盛り付けて新造すると良いでしょう。
 写真撮影の段階で気が付いたのですが、左手の指、特に薬指が先細り過ぎる様なのでパテで修正した方が良いでしょう。以前の原型写真を見るとそうでも無いので、恐らく原型を研き上げる際か、キット製作時のパーティングライン処理の時に削り過ぎてしまった様です。
 髪の毛パーツをを基準に接地させると胸パーツが若干浮き、胸と右袖を接着してしまうと、胸パーツの浮きに伴い右袖、右腕も浮いてしまう恐れが有ったので、右袖と右手首を床面に固定してから、その他の上半身パーツを接合した胸パーツを置きました。袖と胸パーツの間に隙間が発生しているとは思うのですが、合わせ目をシワになる部分に作っていたのと、裏側は髪の毛で完全に隠れてしまうので、見た目には何の問題も有りません。製作される際は髪の毛の接地する底面を当て木をした紙やすりで削って高さを調整してやると良いと思います。

 気になる所は散見する物の、キット製作自体は他の市販やイベント品と同じ様に行えました。
 気泡や欠損部分は薄い色のポリパテで埋めてやり、下地塗装は何時も通り、肌色の部分をミッチャクロンとクリスタルクリアーで、それ以外の部分をミッチャクロンとクレオスのホワイトサーフェイサーで行っています。
 手流しのキットでサフレスは無理かと思ったのですが、肌色の面積がそれ程多くなかったので、多少見逃してしまった気泡が有るのが悔やまれますが、それなりに綺麗に出来ました。

 彩色も何時も通りで、大部分はラッカー塗料のエアブラシ塗装です。
 服やスカートの白い部分はホワイトサーフェイサーの上にアクセルホワイトで白くした後、青紫を白で割った色でシャドー部分を塗っています。
 服の基本色とストッキングはマルーンにキャラクターブルーを混ぜた物で塗り、ストッキング部分にはスーパークリアーの半光沢にボークスのパールパウダーのパーブルを混ぜた物コートした後、トップコートのつや消しでさらに光沢を落しています。服の基本色とストッキングは元イラストにかなり近い色で塗れたので喜んだのですが、写真ではちっとも反映されていません。
 服の裾の金色の部分はアルクラッドのゴールドでエアブラシ塗装、裾部分の模様とエンプレムの淵と模様はハンブロールのゴールドで筆塗りの後、つや消しクリアーで光沢を整えています。袖のエンプレム部分の白は基本色を塗る前に塗ってマスキングしています。袖口は多くのイラストでは濃いグレートなっているのですが、イラストに合わせて白にしておきました。ボタンはハンブロールのゴールドで筆塗りしています。
 ストッキングのゴールドのラインラインを引く部分に0.7mmのマスキングテープを巻いそれをガイドにしてマスキングを行い、ガイドのマスキングテープを剥がしてアルクラッドのゴールドを塗っています。足首に入っているはずの模様は資料が見当たらない為入れていません。
 髪の毛と瞳はマルーンにキャラクターブルー、ブルー、ホワイト、キャラクターレッドを混ぜた物で塗っています。
 肌色は去年制作した風見みずほの物を使いました。
 目の部分は何時も通り肌色を塗る前にブルーFS35622で白目部分のシャドーを入れてから、髪の毛と同色で瞳の色を塗っています。目の黒い部分はエナメルのセミグロスブラック、ハイライトはリキテックすのチタニウムホワイト、眉毛はエナメルのパープル、口はエナメルのフラットレッドにホワイトでそれぞれ筆塗りです。
 腕輪はアルクラッドのゴールドでエアーブラシ塗装しています。右手は袖がわから通せるのですが、左手は通すには径が小さいので、塗装前にデザインナイフで一箇所を切断して、塗装後に袖側から広げて通しました。
 靴は艦艇色にブラックとレッドブラウンを少量づつ混ぜて塗っています。

 ベースは当初はタミヤの1/24スケールのカーモデル用ケースに収めようと思って作りはじめたのですが、原型が完成したら1/20スケール用のケースでも収まらない事が発覚して、結局1/18スケール用のT−CASE(L)を使用しています。
 当初はミラーベースにインクジェットプリンターでクリアーシールに印刷した物を使う予定だったのですが、予定していたケースが使用不能により計画が頓挫したので、インクジェットプリンターで印刷した光沢紙を両面テープで貼っています。結果的には元イラストに近い状態となりました。

 ベースとなったケースへの固定や、各部の接合は両面テープでの貼り合せとダボの差込で済ませているので、接着は一箇所も行っていません。

 写真での再現性が余りにも低いので、イベント等で実際に見て頂くのが一番良いのでは無いかと思います。
 直近では7月18日に神戸の国際展示場で行われるワールドホビーフェスティバル 神戸21で見本展示する予定です。
 版権許諾が降りればキット販売もしている筈ですので良ければ買ってやって下さい。





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